現在、現代アートの界隈で伝説となっている絵画教室「ルカノーズ」目黒校の体験レッスンに行ってきた。
なぜルカノーズが伝説の絵画教室かというと、日本で唯一の現代アートの制作に特化した絵画教室だからだ。
絵画教室といえば、対象が高校生向けの美大受験でデッサン中心であったり、主婦や高齢者向けの趣味の絵画を教えるイメージがあるのだが、ルカノーズはどっこい旬のアーティストが作るような現代アートの制作を教えている。
「全くのアート初心者に、遊園地へ遊びに行く感覚で現代アートを楽しんでもらいたい」という主催者の想いで2009年にスタートしたルカノーズは絵を描くだけではなく、美術の歴史までも体系的に学ぶことができるというまさに美大に行かなくても一気通貫で全て学べる教室なのだ。
しかもルカノーズで学んだ生徒は、現代アートの様々なアワード、公募で数多くの入賞者を輩出していることでも有名だ。
教室では学んだ知識を元に、ルネサンスや印象派など古典的な技法から、ニューヨークなどの現代画家たちのオリジナルテクニックを実践で身につけられる講座が開催されている。
講師陣は、作家、イラストレーター、キュレーター、臨床心理士など多数。多様な業界の切り口からアートの極意を学ぶことができる。
http://www.lukanose.com/adult/index.html
実際の教室ではアットホームな雰囲気の中、精鋭の先生方の指導を受けながら、生徒が精力的に作品制作に取り組んでいる。その様子は動画でご覧いただきたい。
今回のレッスンメニューは、「デッサン体験・工具を描く」。
60年代にアメリカで活躍したポップアーティスト、ジム・ダインの作品を参考に、いざデッサン体験開始。
ジム・ダインの「Tool Series」は、メリハリの効いた明暗を用いて工具をドラマチックに描いた作品である。
この作品を参考に、ジム・ダイン風のデッサンを仕上げていく。
工具箱の中から好きな工具を選び、紙の上に置いてスプレーを吹きかけ、下書きに構図を決めていく。
本番の紙にスプレーを吹きかけ、次は実物の工具を見てデッサン。
スプレーのかかっていない白い部分へ、実際の工具をよく見て鉛筆で描き加え、完成。
通常のデッサンでも、いかに明暗を駆使して画面を引き締めるか、ということが必要な技術のひとつになるが、わずか1時間半のレッスンの中で、初心者でもその感覚の入り口に立つことができる、大変わかりやすいレッスンであった。
今回のレッスンをしてくださったのは、主宰の三杉レンジ先生。
多摩美術大学の油画科を卒業後、グラフィックデザイナーや広告代理店に勤務した後、中学高校の美術教師を経て、ルカノーズを設立。
学校教育に携わる中で、美術史を体系的に教えている場が少なく、分断的な脈絡のない授業が横行していることに気づき、満を持してルカノーズのスタートに至ったということだ。
三杉レンジ先生について詳しくは、こちらから。
http://www.tagboat.com/wp/三杉レンジ/
一般に、人々と現代アートの間を隔てる壁は厚く、面白さを理解する機会は早々訪れない。確かに現代アートと称される作品のひとつひとつは、一見難解であり、決して単純ではない。
しかし歴史を紐解くことで、今のアートにつながるヒントを、手を動かしながら学び取ることができる。ルカノーズの授業を通して、そういった現代アートの確かな面白さに気づくことができるだろう。
アートに全く触れたことがなかった人が、過去のアートを理解していき、趣味の延長を超えたアーティストとして作品を生み出すようになったら?美大に通わず、突然アートの道を志したとしても、アーティストとして生きて行くことができるようになっていったら?ルカノーズではそんな伝説が生まれ始めている。
日本のアート教育の歴史は、今後この絵画教室によって塗り替えられることであろう。
現在ルカノーズは、池袋校で絶賛生徒募集中。
無料体験は随時受け付けているので、ぜひ一度体験に行ってみていただきたい。